【大阪労働局・安全課】2019年を振り返って

 

大阪労働局労働基準部

安全課長 下岡 恵輔

 建設業労働災害防止協会大阪府支部及び会員の皆様には、平素から労働基準行政の運営に格別の御理解と御協力を賜り、厚くお礼申し上げます。

 大阪府内における令和元年の建設業の労働災害による死亡者数は、令和2年1月末現在の速報値で19人と前年同期と比べ5人減少しました。9月までは、平成30年の大阪北部地震や台風21号などの自然災害による被害復旧に伴い、木造・低層住宅の屋根補修などの工事等において死亡災害が多く発生し、その後、建設業労働災害防止協会大阪府支部にもパトロール等の御協力をいただいたところです。

 昨年の建設業の死亡災害19件のうち3分の2が墜落・転落災害によるものとなっています。

 昨年2月1日から「安全帯」という名称が「墜落制止用器具」に代わるなどフルハーネス型墜落制止用器具の改正政省令が施行されました。

 大阪府下の労働基準監督署が、令和元年の4月から6月に実施した建設現場に対する監督指導等において、フルハーネスを原則としているかと質問したところ、約50%が原則としていると回答しましたが、この結果を見ましても、まだまだフルハーネスが普及していない状況にあります。メーカーによる製造が追いついていないとの情報もありますが、政省令改正の趣旨を十分御理解いただき、出来るだけ速やかにフルハーネス型墜落制止用器具を購入し、現場における適切な「墜落制止用器具」の使用を、「命綱GO活動」の取組と合わせて進めていただくよう、よろしくお願いいたします。

 全産業の死亡災害発生状況をみますと、昨年は「冬季死亡災害防止強化期間」を設けた1月~3月期で9人と少なく、年間についても令和2年1月末の速報値で51人と前年同期より16人減少しました。過去最少の47人だった平成27年や、2番目に少なかった51人の平成28年も1月~3月期において10人未満と少なく、逆に増加した平成29年、30年は20人以上でその年の年間死亡者数はそれぞれ60人、72人と大変増えたことから、この1月~3月期の死亡災害を減少させることが、年間の死亡災害減少に大変重要であると考え、本年も引き続き1月1日から3月31日までを「冬季死亡災害防止強化期間」とし、死亡災害撲滅に取り組んでおります。

 冬季死亡災害防止強化期間では重点項目として、墜落・転落災害防止と交通労働災害防止を掲げています。

 冬季は路面の凍結や夕暮れが早いことで視認性が悪く、事故の発生が懸念されることから、現場への往復時等における交通事故防止に御注意いただくようお願いいたします。

 また、昨年4月より年次有給休暇の確実な取得のための年5日間の取得の義務付け、時間外労働の上限規制や産業医の機能強化など働き方改革関連法が施行されました。

 建設業に人が集い、魅力的であるためには、安全で安心して働ける職場環境の整備が重要であり、労働災害の防止とともに更に推進していかなければならないと考えております。

 本年も皆様の御協力を得ながら施策の推進にあたって参りますので、よろしくお願いいたします。