【大阪労働局長】令和3年度全国労働衛生週間を迎えて

木原 亜紀生 大阪労働局長

 

 建設業労働災害防止協会大阪府支部会員各位におかれましては、日頃から労働災害の防止活動、労働衛生・産業保健活動の向上に向けた取組に御尽力賜り、厚くお礼を申し上げます。

 この全国労働衛生週間は、昭和25年の第1回以来、今年で第72回を迎えます。この間、国民の労働衛生に対する意識を高揚させ、事業場における自主的労働衛生管理活動を通じた労働者の健康確保等に大きな役割を果たしてきました。

 労働者の健康をめぐる状況ですが、令和2年度における全国の過労死等事案の労災認定件数は802件となっており、大阪でも73件が労災認定されています。また、大阪府内における一般健康診断の有所見率は5割を超え、年々増加を続けていますが、中でも建設業は6割を超える状況となっています。

 建設業界におかれましては、過労死等を防止するため、発注者、元請及び下請事業者等がお互いに協力し、過重労働による健康障害の防止対策及びメンタルヘルス対策に積極的に取り組んでいただきますようお願いいたします。

 また、新型コロナウイルス感染症のり患による休業4日以上の労働災害は、令和2年に全国で6,000人以上発生していますが、今年はさらに増加することが見込まれます。職場における感染拡大防止のための「取組の5つのポイント」をはじめ、各事業場の実態に即した感染予防対策を徹底していただくことが重要ですので、積極的なお取組みをお願いいたします。

 高年齢労働者が安心して安全に働ける職場環境づくりや労働災害の予防等の観点から、厚生労働省では、高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)を策定し、周知・啓発等に取り組んでいますので、ぜひともご活用ください。

 さらに、日本の労働人口の約3人に1人が何らかの疾病を抱えながら働いている現状の中、職場において、病気を抱えた労働者の治療と仕事の両立への対応が必要となる場面が増えることが予想されます。大阪労働局では、関係団体や医療機関等との連携を図り、「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」の周知啓発等を進めることにより、企業の意識改革や地域における支援体制の強化を進めています。

 石綿による中皮腫・肺がん等の職業がんの労災補償の新規支給決定者は全国で年間1,000人を超えていますが、石綿の製造・使用等が禁止される前に石綿含有建材を用いて建設された建築物が今なお多数現存しており、その解体工事が2030年頃にピークを迎えることが見込まれています。石綿の有無に関する事前調査や石綿のばく露防止対策を強化するため、令和27月に石綿障害予防規則が改正されていますので、その周知・啓発等にも取り組んでいます。

 

 厚生労働省では、101日から7日までの期間、「全国労働衛生週間」を実施します。

 今年度は、

「向き合おう! こころとからだの 健康管理」

 

を全体のスローガンとして全国労働衛生週間を展開し、事業場における労働衛生意識の高揚を図り、自主的な労働衛生管理活動の一層の促進を図るとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた副スローガンとして

 

「うつらぬうつさぬルールとともに みんなで守る健康職場」

 

を設け、事業場における更なる感染防止の徹底を呼び掛けることとしております。

 各事業場におかれましては、本週間を契機として、事業場内の労働衛生意識の高揚を図るとともに、自主的な労働衛生管理活動の一層の促進を図っていただきますようお願い申し上げます。

 なお、大阪労働局では、令和3101日に「大阪・職場の健康づくりフォーラム」を開催し、その事例発表、特別講演等を、大阪労働局YouTubeチャンネルに掲載することとしています。ぜひともご覧ください。

 皆様が、「災害ゼロ・疾病ゼロの大阪」を実現することを目標として、労使が協調し、自主的な労働衛生管理活動に取り組んでいただきますようお願いいたします。