【大阪労働局 安全課長】令和4年を振り返って

小野安全課長

 建設業労働災害防止協会大阪府支部及び会員の皆様には、平素から労働行政の推進、とりわけ労働者の安全確保対策に格別の御理解と御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。

 令和4年は労働安全衛生法の施行より50周年となる年でした。労働災害の減少を最大の目的とした法律により、施行時(1972年)の全国の労働災害による死亡者数は5,631人でしたが、施行の2年後には5千人を切り、50年を経た現在、令和3年では867人となり、令和4年はさらに減少する見込みです。

 休業4日以上の死傷災害も近年は横ばいから増加傾向にあるとはいえ、施行当時の半数以下の15万人まで減少しており、建設業では6分の1以下の年間15千人近くまで減少しています。

 今後、益々の減少を目指して行政施策を推進し、2025年の大阪・関西万博では世界に誇れる国として各国の方々を大阪へお迎えしたいと考えます。

 また、令和4年は大阪労働局第13次労働災害防止推進計画の最終年でもありました。大阪府内における労働災害による死亡者数は令和5210日現在速報値では全産業で48人、死傷者数は令和51月末日速報値で新型コロナウイルス感染症へのり患の影響もあり、全産業で20,735人と前年同期と比較し93.4%の大幅な増加となりました。

 建設業でも新型コロナウイルス感染症り患の影響は受けつつも731人で前年同期と比較し2.9%減少という状況となっています。

 死亡災害では昨年8月時点において前年同期比で倍増の10人となり、9月に入りさらに1人が墜落・転落により死亡したことから920日付けで貴協会支部長あてに死亡労働災害の防止に向けた取組の要請を行いました。

 その結果、令和51月末日速報値では12人と建設業における13次防での目標「201720人から2022年までに15%以上減少させる『17人以下とする』」を達成できる見通しであります。

 これもひとえに貴支部の取り組みと会員事業場の皆様をはじめ建設業界あげてのご努力が結実した証と深く感謝申し上げます。

 建設業界もICTやIoTを取り入れ、DXによる安全衛生管理が行われる時代です。半世紀前では、考えも及ばない新技術が世の中を闊歩していますが、やはり安全の最後の砦は人間であり、危険を察知し回避できる安全思考型人間(人材)が多く育っているかという人的資本が企業価値を高めるものだと思います。

 令和54月から新たな第14次労働災害防止推進計画が展開されます。いつの時代にあっても安全が最優先され、大切な家族のもとに笑顔で帰る日々が続くことを切に願っています。 ~ご安全に~