【大阪労働局】令和2年度全国労働衛生週間を迎えて

 

木暮 康二 大阪労働局長

 令和291日付けで大阪労働局長に着任いたしました木暮でございます。

 建設業労働災害防止協会大阪府支部会員各位におかれましては、日頃から労働災害の防止活動、労働衛生・産業保健活動の向上に向けた取組にご尽力賜り、厚くお礼を申し上げます。

 さて、労働者の健康をめぐる状況についてみますと、一般健康診断の有所見率は5割を超え、年々増加を続けていますが、中でも建設業では6割を超える状況となっています。

 また、大阪府内における令和元年度の脳・心臓疾患に係る労災認定件数は17件、精神障害の労災認定件数は29件となっております。このような状況を踏まえ、皆様におかれましては、長時間労働者に対する医師の面接指導や、ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策へ積極的に取り組んでいただきますようお願いいたします。

 併せて重要な施策として、治療と仕事の両立支援への取組がございます。疾病を抱える労働者の就業可能性の向上を図るために治療と職業生活を両立できる環境づくりのため、皆様には、「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」を踏まえた就業上の措置、治療に対する配慮や環境整備等をお願いいたします。

 さらに、石綿の製造・使用が禁止される前に石綿含有建材を用いて建設された建築物が今なお多く現存している状況から、2030年頃をピークとして解体工事がますます増加することが見込まれており、建築物等の解体・改修前における石綿の有無に関する事前調査や石綿の発散防止措置等の石綿によるばく露防止対策を強化することとした改正石綿障害予防規則等の施行が令和210月から施行されます。この他にも溶接ヒュームを特定化学物質として規制する改正特定化学物質障害予防規則が令和34月から施行が予定されていますので、これらの法改正を踏まえた対応をお願いいたします。

 

 さて、厚生労働省では、101日から7日までの期間、「全国労働衛生週間」を実施します。

今年度のスローガンは、

「みなおして 職場の環境 からだの健康」

となっております。

 

 わが国では、急速に高齢化社会に移行しつつあり、建設業界におかれても労働者の高年齢化の著しい進展が見られ、全産業における死傷災害の被災者の4人に1人が60歳以上の者で占められているなど、高年齢労働者の労働災害防止対策は喫緊の課題となっています。

 こうした中、本年4月には、厚生労働省において高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)を策定し、高年齢労働者に対する健康づくり等の取組を推進することとしています。

 健康寿命とともに職業生涯も延伸し、高年齢労働者にとって安心して安全に働ける職場環境づくりや労働災害の予防的観点からも各事業場におかれましては、高年齢労働者対策も含め、今年度のスローガンにご配慮いただくとともに、本週間を契機として事業場内の労働衛生意識の高揚を図るとともに、自主的な労働衛生管理活動の一層の促進を図っていただきますようお願い申し上げます。

 

 最後になりましたが、労働災害防止及び労働者の健康確保の観点からは、職場における新型コロナウイルス感染症の感染防止も重要です。新型コロナウイルスの感染防止のため、「新しい生活様式」を実践し、「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」などを活用いただくとともに、自主的な労働衛生管理活動の実践により、職場の実態に即した対応を図っていただきますようお願いいたします。

 なお、大阪労働局では「大阪・職場の健康づくりフォーラム」を大阪労働局YouTubeチャンネルに掲載し実施することとしていますので、ぜひともご覧ください。

 皆様が、「災害ゼロ・疾病ゼロの大阪」を実現することを目標として、労使が協調し、自主的な労働衛生管理活動に取り組んでいただきますようお願いいたします。