【大阪労働局・安全課長】令和2年を振り返って

大阪労働局 労働基準部 

安全課長 堀 幸男

 建設業労働災害防止協会大阪府支部及び会員の皆様には、平素から労働基準行政の運営に格別の御理解と御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。

 昨年は、新型コロナウイルスの脅威に振り回された年でした。1月に中国武漢市在住の方が日本人初の感染者として確認され、その後2月には横浜に入港したクルーズ船での新型コロナウイルスの脅威を映像で見せつけられ、3月にはマスクが市中から無くなるとともに、東京オリンピックの延期が決定、47日には第1回目の緊急事態宣言が発令され、不要不急の外出の自粛が要請されました。その宣言期間中有名芸能人の方が、罹患後死亡し、箱に入って帰宅した映像は、改めてこのウイルスの脅威を私たちに見せつけることとなりました。このウイルスの感染予防のため、昭和28年以来開催されてきました全国安全週間大阪大会や大阪府建設業労働災害防止大会、北海道で開催予定であった全国労働安全衛生大会が中止となり、第57回建設業労働災害防止大会はWeb開催となりました。

 感染者数は増減を繰り返し、冬を迎えて爆発的に増加し、医療崩壊が叫ばれる事態となっております。ウイルスの感染予防のため3密を避ける行動や新しい生活様式が提唱され、高度情報通信ネットワークを利用したテレワーク等の外出を必要としない働き方の変化が急速に進んでいるところです。

 従来、経済活動が停滞すると労働災害が減少する傾向にありましたが、昨年は、12月末の速報値で全産業104件(-1.4%)の減少にとどまっており、リーマンショック時の1148件(-11.9%)と大幅に減少したこととは対象的だと思います。同値の内訳として、製造業で141件、建設業でも98件の減少となっております。建設業では墜落・転落災害の減少が災害の減少になっていますが、土木工事は10件も増加しており、今後万博工事等インフラ工事の増加が見込まれる大阪では、気懸りな数字となっています。

 災害が増加しているのは陸上貨物運送業54件、保健衛生業241件で、その保健衛生業のうち社会福祉施設では127件増加しております。

 感染防止のための巣ごもり生活で宅配が多く利用されたことや介護施設や診療機関での感染が発生していること、高齢化による転倒災害等が増加したことが関係しているのではないかと考えています。

 まだまだ新型コロナウイルスの脅威もあり、本年も行政課題が山積しておりますが、今後とも皆様のご協力を得ながら施策の推進にあたって参りますので、よろしくお願いします。